ロシア・シベリア旅行記 ~ 第三章 平和を乗せて ~ |
2008/08/15(Fri)
|
シベリア鉄道はウラジオストックからモスクワまで1週間の横断の旅 まずは途中下車する都市イルクーツクを目指す ガッタンゴットンガッタンゴトンガタンゴトンガタンゴトン・・・・ ナターシャ、ターニャらに見送られて夢の列車がゆっくりゆっくり動き出した この鉄道の旅から同行してくれる通訳のイリーナはなんと妊娠6ヶ月の妊婦さん しかも旅の間は旦那さんとしばし離れた生活となるのだ とても寂しいだろうに「お腹の赤ちゃんがいるから大丈夫ですよ」とニコッと爽やかに振舞う 私より年下だけど女性としてとても尊敬できる先輩、そして親友ができた イリーナは通訳だから当然の如く日本語が話せるが 私たち日本人も恥ずかしくなるくらいボキャブラリーが豊富で丁寧な日本語を話す でもイリーナは日本に留学したことは一度もないというから驚きだ 高校、大学で教えてもらった先生がとても素晴らしい方で その先生のお陰でここまで話せるようになったと話してくれた 私もそうだが先生との巡り合わせは本当に人生を左右するものだと思う 私にも尊敬する先生が何人かいてその先生方のお陰で今があると思えるからだ 「皆さ~ん、とりあえず部屋に入って荷物を整理しましょうね」 「はぁ~い」 鉄道の旅では一番年下のイリーナが先生役で他のメンバーがまるで生徒のように イリーナにみんなが従い頼りっぱなしだった どんなことに対しても嫌な顔ひとつせず笑顔で対応してくれるイリーナが誇らしかった ストレスだって溜まっただろうに・・・イリーナ本当にありがとう 客室は4人一部屋の寝台列車で3部屋に分かれた 重~いトランクを数人がかりで持ち上げ2階の収納にせーので押し込み これから数日間寝床となる自分の城をそれぞれに作り上げていく やっぱり個性派揃い!ひとつひとつのベッドや部屋によって雰囲気が全く違う しかも、遊び心で部屋に名前もつけてしまった 私たちの部屋はなぜか人が集まりお酒が振舞われる賑やかなBARのようで (決して私は飲兵衛でもホステスでもないよ・・・) 虹色のくるくるレインボー考案者の梅ちゃんや苫小牧のやよちゃんがいて 平均年齢がグンッと高くなったことから(笑)「くるくるレインBAR(婆)」と名付けた 「婆とは失礼ね~」と2人に言われながらも結構気に入った様子! 笑いの絶えないこの部屋は次第にくるくるレインボーで華やかになっていったのだった そして隣りの部屋はMARIO達の部屋 もちろんそこからいつも生演奏が聴こえてくる 私たちの影響を受けてなのか名付けられたそのネーミングは「PACE茶露夢(サロン)」 「PACE(パーチェ)」はイタリア語で「平和」 (↑MARIOが数年前にイタリア短編映画祭に招かれた時に譲り受けた合言葉) 平和を伝える音楽喫茶のような部屋ということで名付けられた ロシアの“露”が入っているところが何とも素晴らしい 音楽に誘われてなのか通りすがりのロシア人の乗客が時々足を止めてくれた いつものようにロシア民謡を初め日本の童謡や「涙そうそう」「千の風」などが響き渡る イリーナの通訳でそれらの曲の意味を説明するのだが そこには説明する前から曲を聴いて涙する姿があった 「メロディーだけでメッセージが心に伝わってきます」 その男性は声を震わせて胸を押さえていた 「スパシーバ(ありがとう)」と一人ひとり固い握手をし互いの幸せを祈ったのだ ところで、この部屋は身長166センチの私が真っ直ぐ寝ても足を曲げてしまうほど狭く 終始二段ベッドの上だった私は何度落ちそうになったことかわからない・・・(笑) 数日間のその狭いベッド生活に慣れてしまった私は 帰国後の家の布団がやけに広く感じて落ち着かなかった 列車の中には食堂車もあったが私たちはなるべく節約コースを心掛け 日本から持っていった乾物やレトルト食品などでしのいだ まさか、シベリア鉄道に乗って梅干をしゃぶると思ってもいなかったが 梅ちゃん&やよちゃんが持参した自家製の漬物は最高に美味しかった 特に私たちのお父さん的存在のトミーはずば抜けてすごかった 何がすごいって持って行った荷物ほとんどが食べ物なのだ 元寿司職人だけあって食のこだわりもかなりなものだ 「はい、配給で~す!」とまるで給食係のようにみんなの部屋にそれらを配ってくれた 本当に小さなことにも気を配ってくれる優しいトミー 独特の道産子弁で私たちを和ませてくれるひょうきんなトミー トミーが作った手作りの小箱は繊細で本当にステキ この旅でもロシアの人へのお土産にしてとメンバーみんなに配ってくれた トミー本当にありがとね 「そろそろ駅に到着しますのでトイレ行きたい人は済ませてくださ~い」 イリーナがそう言うのには理由があった シベリア鉄道は停車駅の30分前後はトイレに鍵がかけられて入れなくなるのだ もちろん停車中も・・・ 長く停車する駅でも20分~30分は停まるから 行きそびれると長時間の我慢大会となってしまうのだ イリーナがいてくれたからまだ良かったもののシベリア鉄道では 「次は秋葉原~、秋葉原です」みたいな車内アナウンスもなければ 出発の合図のベルもないからホームに出たときは慣れるまで冷や冷やもんだった 乗り遅れたら一巻の終わり・・・ 何両も連なる車両のどこから乗っても良いのだが しばらく部屋に戻って来ないとみんなで本気で心配した 停車する駅のホームでは時々行商から鮭の燻製や果物、惣菜を買った ピロシキも肉だけでなくジャガイモや野菜が入っていて 色んな種類があったから作り方や味は違っても信州のおやきに通じるものを感じた どんな油で揚げているのかだけ気になったけれど 特にお腹を壊すこともなかったから・・・「まっ、いっか!」とどんな物も食べてみた とかく海外に行くと神経質になりがちな食生活も あまり気にせずにいれたのはどれもハズレがなかったからだと思う 見た目も香りも日本人がすぐに馴染めるものばかりでとにかく全てが美味しかった こうやって停車中に時間があるときは買い物をしたり 決まってMARIO達のホームライブとなった そして、その演奏を更に盛り上げてくれたのが何を隠そうくるくるレインボーなのだ |
| メイン |